宮古の人が読みあげる民話7: 住屋御嶽の言い伝え / 読み手: 與那城美和さん

與那城美和さんの三線の音色を初めて耳にしたときに、その確かな技術に支えられた音とのびのびとした歌声に、驚いたことを覚えています。古いのに新しい。まだまだ美和さんの音色を聞いていたいと思ってしまいます。宮古の古謡や伝統音楽、加えて、新しい挑戦もたくさんしている美和さんです。

https://www.youtube.com/watch?v=zBCj1h7D-OQ

美和さんの経歴については、以下のURLから引用させていただきます。
https://ameblo.jp/19591002/entry-12084044701.html

與那城 美和(よなしろみわ)
沖縄県宮古島市平良出身

母の影響で小学4年生頃から三線に興味を持ち「工工四(くんくんしー)」を覚え、三線を弾き始める。琉球古典民謡の野村流伝統音楽協会の与那覇寛仁氏に師事し、琉球古典芸能コンクール (琉球新報社主催)で新人賞、優秀賞、最高賞を獲得。2009年に野村流伝統音楽協会教師免許取得。
舞踏では2005年、久田流家元久田多嘉子舞踊研究所の教師免許を取得した。
2009年、宮古島市総合博物館の講演で初めて古謡を唄ったことをきっかけに、 現在は宮古の民謡や古謡の研鑽に努めている。

『住屋御嶽の言い伝え』

昔、根間の里に母親に早く死なれて継母に育てられている7歳の男の子がいました。ある日、継母が赤豆を煮ていました。香りに誘われて赤豆が欲しいと男の子が言うと、いつも疎ましく思っている継母は、「包む用のビヴュガッサ(クワズイモ)が住屋アブ(洞窟)の側に生い茂っているのでそれを摘んで来なさい」と言いました。

男の子は、木の生い茂る住屋アブに行ってビヴュガッサの葉を摘もうとして足を踏みはずし、底知れぬアブに真っ逆さま。ところが、途中で蔓(つる)に引っかかり宙吊りになりました。男の子は7夜泣き明かしましたが、父親は助けるどころか、泣き声がうるさいと蔓を断ち切って自分の子を奈落の底へ突き落としました。

男の子は、アブを通り抜け地の底の根入り屋の国あろうの国へと入っていきました。根入り屋の神は男の子から事情を聴き、君が心の善い者であるかどうかを確かめ、もしそうであるならば、現世に返してあげようと言いました。そして、神は荒々しい赤牛を手なずけることができるかどうかを試しましたが、男の子はすぐに慣れ親しんだ。

神は「君は心のきれいな子だ、もう一度、現世に戻り幸せになりなさい」と言って返しました。男の子は住屋山に入り「根入り屋下(う)りあろう踏む真主」といって崇められました。また、神となった男の子は自分を奈落の底へ落とした父親のことをいたく悲しみ、すべての男を呪うようになったので、この御嶽に男が参拝してはならないという言い伝えがあります。今では、根間内会の里御嶽と学問の神様として親しまれています。

ほかの民話