36) 「お前、見たなー」

「おまえたなー」

せんもないころのはなしです。

ははむすふたりらしでした。おきなわほんとうがっこうきたいというむすを、ははおやなみだんですことにしました。むすおやもとはなれてとうからてきたがくせいたちといっしょりょうはいりました。なかろうをはさんで、りょうがわにはたたみがそれぞれられ、ひとつのすうにんきょうどうせいかつをしていました。

いちねん過ぎころでしょうか、ははおやけなしのかねをはたいてぶたにくい、さんまいにくつくってむすおくりました。とうれいとうせつ無くむすりょうくころにはすでにぶたにく腐ってくさいました。それでもむすははおやちがうれしく、づつみいていてよろこびました。そして腐っくさにくおしれにかくし、みんなが静ましずってからひとり人でべました。このときからむすへんきていました。腐っくさたこのにおいがなんとも忘れわすられないものとなっていたのです。

それから、しばらく経ったあるゆうがたむすがっこうかえりになつかしいにおいをかんじました。「おや?このにおいは」むすちゅうにおいのするほうがくあるしました。なんとそこは、鮮やあざかなそうしきばな飾らかざれたおはかでした。しばらくちすくみ、そこからはなれられないでいました。がとっぷりとれ、ひがしそらからまーるいつき昇ってのぼきました。まんげつよるでした。

むすまわりにひとがないことをかくにんして、まだなまなましいしっくいはかをこじけはじめました。そして、はかなかはいっていきました。しばらくして、むすまんぞくそうにくち拭きながらしてきました。はかいりぐちもとどおりにし、なにごともなかったかのようにかえっていきました。それからというもの、むすまいばんのようにさまあるき、はかをこじけてはなかたいをむさぼるのでした。

おなゆうじんは、まいばんかけていくむすを、こいびとでもあいびきでもしているのかなと、あるばんいたずらごころでつけてみることにしました。むすがみんな静ましずったとおもって静かしずくところを、ゆうじんづかれないようにあとをつけました。そとつきあかるいじゅうばんでした。むすひと無いススキやまにズンズンはいっていきました。「どこまでくんだろう」おもいながらあと付けくと、なんむすあたらしいはかまえまりました。ゆうじんおもいましたが、しばらくようることにしました。

むすはいきなりはかをこじはじめました。いよいよゆうじんはそこでこし抜かし、こえすことさえできませんでした。しばらくして、むすはかなかからたいきずりはじめました。をむしりり、つきにかざしてニンマリとわらったかとおもうとガブッとひとくち…。「げーっ」ゆうじんはいたたまれずおおごえはっし、ひっになってげました。むすはびっくりして「おまえたなー」といかけてました。
りょうにたどりいたゆうじんは、とんあたまからかぶり、ブルブル震えふるていました。しんぞう裂けんばかりにたかりし、震えふるまりません。むすは、ゆうじんりょうんだのをとどけるとひとひとつの確かたしはじめました。「おまえたなー」とささやくようにひとりひとり確かたしめてあるいたそうです。

とうとう、ゆうじんにやってきました。むすゆうじんのところまでると「おまえただろー」とってむねてました。ゆうじんは、あまりの恐ろおそしさに固まかたったまま、いきったというはなしです。

しゃ西にしはらはる

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