26) ンミブスオカーネのゆがたい

『ンミブスオカアネのゆがたい』

昔むかしね、天てんの群むれ星ほしに、６人にんの姉し妹まいがいたそうだ。一いち番ばん上うえの姉あねをオカアネといって、６人にんはたいそう仲なかがよかったそうだ。父ちちは天てんの神かみさまで、６人にんは飛とび衣ころもを与えあたられ、時ときどき々地ち上じょうへも降おりてきて沼ぬまで水みず浴あびをしたりしていたそうだ。

ある日ひ、沼ぬまの主ぬしのミカルスが６人にんの水みず浴あびを見みてしまいました。あまりに美うつくしいので木きにかけてあった飛とび衣ころもの１枚まいを盗ぬすみ出だし家いえに隠かくしました。沼ぬまに戻もどると、オカアネが天てんに昇のぼれず「飛とび着き物もの、飛とび袴はかま、隠かくしぬクバガサ、隠かくしぬイビラ」と言いって泣ないていました。

ミカルスは「どうしてあなたは泣ないているの」と尋たずねました。オカアネは事じ情じょうを話はなし、あの飛とび衣ころもがないと天てんに昇のぼれないと言いいました。ミカルスは「それなら、飛とび衣ころもが見みつかるまでうちにいるといい」と言いって、オカアネを連つれて行いきました。そして、二ふたり人は夫ふう婦ふになり、子こどもまでさずかりました。上うえの子こをウミシイ、下したの子こをウミナイといいました。

ある日ひ、ウミシイが弟おとうとをおぶって、子こ守もり唄うたを歌うたっていました。「泣なくなよウミナイ、ばんたがお母かあの飛とび衣ころもは、屋や根ねの棟とうのかごの中なかにあるそうだよ。ばんたが大おおきくなったらお父とうがあげると言いっていたよ」。機はた織おりりをしながらその歌うたを聴きいていたオカアネはびっくり、「今いま、なんて言いった？」と聞きき返かえし、さっそく屋や根ね裏うらに上あがってみると、そこに飛とび衣ころもがありました。

子こどもを残のこしていくわけにはいかないので、二ふたり人を脇わきに抱かかえて飛とぼうとすると途と中ちゅうまでしか飛とべず、母はは親おやは諦あきらめて、一ひとり人で飛とんでいってしまいました。何なん日にち経たっても母はは親おやは帰かえって来こず、父ちち親おやは出で稼かせぎに行いったまま帰かえってきません。幼おさない二ふたり人は途と方ほうにくれ泣なき暮くらしました。

二ふたり人はとうとう死しんでしまいますが、この様よう子すを見みていた天てんの神かみさまは、オカアネを呼よび、二ふたり人を生いき返かえらせて来きなさいと、生いき還かえるムチと花はなを持もたせました。地ち上じょうに降おりた母はは親おやは二ふたり人の子こにムチをあて、花はなを嗅かがせて生いき還かえらせました。そうしてしばらく面めん倒どうを見み、二ふたり人でも生せい活かつができるようになったので、母はは親おやは天てんに戻もどりましたが、地ち上じょうでの行おこないを罰ばっせられ、姉し妹まいの一いち番ばんうしろにいるそうです。　　　　　　　　　　　

（話わ者しゃ／佐さ和わ田だカニ＝伊い良ら部ぶ島しま）