3) 舌切りすずめ

舌切したきりりすずめ』

むかし、じいさんとばあさんがらしていました。二人ふたりにはどもがいませんでした。

ある、じいさんがあさはやはたけ見回みまわりにくとすずめが一羽いちわあそんでいました。じいさんは、どものわりにかわいがってあげようと、いえかえりました。

じいさんがはたけかけたあと、ばあさんは着物きものにのりをれようとおもい、たるにのりをつくり、「となりにたらいをりに行くで、こののりをたべちゃいかんよ」とすずめにかせてかけました。ところがかえってくると、たるのなかののりはみんなべられていました。「アガイー(あらー)、あれだけったのにすずめのやつ、みんなべおってからに」ばあさんは大変たいへんおこりました。

「おまえのようなやつは、やしなっても仕方しかたがない」とすずめのしたをはさみでチャンとってはなしました。はたけからかえったじいさんは、すずめの姿すがたがないので、「すずめはどうした?」とくとばあさんは「あいつはろくでなしだよ、わたし留守るすに、つくっておいたのりを全部ぜんぶべちまった。はらが立つからしたってはなしたさ」

じいさんは、きすずめをさがしにきましたが、つかりません。三日みっかってはたけくと、ちかくのやまにチチチチとくすずめをつけ、じいさんは「おまえ、そんなところにいたのか、さぁ、いえかえろう」とうと、「いやです、ばあさんにころされてしまう」とうので「それは残念ざんねんだ、わしは、おまえのことが心配しんぱいよるれなかったのに」とうと、すずめは、「そうか、一緒いっしょかえることはできないが、じいさんはわたし親切しんせつにしてくれたのでおれいにこの宝物たからものをあげましょう」とって、おおきなはこちいさなはこし、どちらかえらぶようにいました。

じいさんは、おおきなはこおもそうなのでちいさなはこえらんでかえりました。いえかえってからばあさんとはこけると、宝物たからものがぎっしりはいっていました。ばあさんは「あんたはばかだね、おおきなはこならもっとたからがもらえたのに」とじいさんをなじり、「今度こんどわたしがもらってくるさ」とってやまかけました。ばあさんは、当然とうぜんおおきなはこをもらってかえろうとすると、すずめが「これは途中とちゅうけてはなりません、いえかえってからけるように」と忠告ちゅうこくするが、ばあさんはかまわず、よいしょ、よいしょとおもはこきずりながらかえりました。

途中とちゅうであまりにもおもいので、一体いったいなにはいっているんだろうとすこけてみました。てきたのはへび大群たいぐんでした。ばあさんはこしかしそうになりながらそのはなれ、きながらかえりました。じいさんは「ほらろ、欲張よくばるからそんなうんだ」とってばあさんをたしなめました。それからばあさんも心をえたということです。

話者わしゃ花城はなしろカニメガ=平良ひらら

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