46) 猿長者

さるちょうじゃ

むかし、あるおおみそばんに、てんが、むらびとたちにユー(ふく)をあげようとおもってりてきました。さいしょひがしかねちのいえたずねました。ニャーニャーとねこになってはいっていくと、じょちゅうさんらしきひとてきて「アバ、マユ(ねこ)がはいってきましたよおくさん」とってうろたえています。「すると、おくほうから「こんないそがしいときにねこなんか、はらいなさい」とわめいています。ねこけたてんは「なんて、ガサツなひとたちだ、こんないえにユーをやるひつようなんてない」とおもって、となりいえきました。

西にしいえくと、おばあさんがてきて「あれ、おじんさんや、ねこましたよ」とうと、おじいさんが「どこのねこらんが、ねこだってわしらとおなものなかさ、なにかあげるものはないか」といています。これをいたてんもと姿すがたもどって「あなたがたこころやさしいにんげんだ、わしは、らいねんのユーをけようとおもっててんからりてきたが、こんばんひとばんめてもらえないか」とたずねました。おじいさんとおばあさんはすここまって「このとおり、なにもないいえですが、それでもよろしければ」とって、ていねいにいえげました。

おおみそだというのに、ほんとになにもなく、ふたり人はすみでおをわかし、それをんでいました。てんは「ひがしいえは、はんだいいっぱいにごちそうをならべ、さんしんをかきらしてにぎやかにしょうがつむかええようとしているのに、なんというちがいだ」とはなし、ばあさんになべをもっててそれにかすようにいました。てんくと、ふところからこめつぶし、つぶさんつぶなべれました。すると、なべいっぱいにごはんけました。

おなじようなほうほうにくじるつくり、3にんでそれらをべながらおおみそごすことにしました。おじいさんとおばあさんのよろこびようったらありません「こんなおいしいもの、まれてはじめてです」とっておおよろこびです。そこで、てんふたり人にしつもんしました。「あなたがたは、わかがえるのとかねちになるのと、どちらをのぞみますか」。するとふたり人は「アガイ、それならわかがえほうがいいね、わかかったらいっしょうけんめいはたらいてかねちにもなれるし、どもだってつくれるし」とこえをそろえてこたえました。

「よし、それならふたり人のゆめをかなえてあげよう。まずみずおけかし、ふたり人それにじっとつかっていなさい。わたしいというまで」てんいました。ふたり人はわれたとおりにしました。「もう、よろしい」というこえふたり人はがると、りっわかものうつくしいむすめまれわっていました。ふたり人はってよろこびました。てんは「わたしはあなたがたのよくすることをかなえてやった。これからはちからわせて、やさしいこころわすれることなく、しあわせをつけなさい」とのこしてしずかにどこかへってしまいました。

しばらくすると、ひがしいえものが、しただねりにやってきて、わかふたり人をて「アバ、このいえものはどこへったのかな」とたずねるとふたり人はクスクスわらって「ここにいますよー」とってからかいました。まるくしているひがしいえものわけはなすと「こうしてはいられない、わしらもわかがえらせてもらおう」とっててんいかけました。「どうか、わたしたちもわかがえらせてください」とたのむと、てんは「いいだろう、それではまずぞくにんずうぶんだけくろいしをさがしてならべ、それにひとり人ずつすわっていなさい」といました。おとこうしろ姿すがたふかくおれいをしてからさっそくいえかえり、われたとおりにしました。するとよくぶかひがしいえひとたちはさるまれわりました。そのかっこうて、これではにんげんしゃかいめないとって、やまげてったそうです。

そこへてんりてきて、西にしいえものに「ひがしいえざいさんは、すべてあなたがたまかせますのできなようにしなさい」とってかえりました。ふたり人は、かねちになったうえに、どももさずかり、むらいちばんしあわものになったというはなしです。このときから、しょうがつのしめなわにはすみこんかざってこころわかがえるそうですよ。

しゃカニ=

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