41) むやみな同情 災いのもと

『むやみなどうじょう 災いわざわのもと』

あるおとこが、やまうしくさりにったそうです。すると、おおきないししたがいこつがありました。よくよくると、それにはみみからみみくいんであったそうです。このおとこは「かわいそうに、このひとかみさまのであったはずだのに、だれがこんなことをしたんだろうね」とって、くい抜いてやりました。

おとこは、くさえるといそいでかえりました。ところが、そのよるから眠るねむことができなかったそうです。そして、よるとなくひるとなくひとものぬすんであるいたそうです。ぶんでもしきしないなかでそうしたこうどうをとっていました。ぞくは、呆れあきてしまい「むかしは、こんなひとじゃなかったのに」とってがりました。

とうとうつまは、ムヌスー(ものり)に頼るたよことにしました。すると、ムヌスーは「これはくさりにって、へんなことをしてあるね」とうのだそうです。そして、「がいこつくいまれていたのは、そのひときているとき、あくどいぬすっで、しんぶつは、これをこのままにしておくとまた、にんげん悪さわるをしたり、だましたりするので、おそらくくいまれたんだろう。そのひとがあんたのだん移っうつぬすっをさせているんだよ」とおしえてくれました。

つまかえってそのことをおっとはなしました。おとこは「これはたいへんだ」とってやまかけて行きました。そして、がいこつつけ「こいつめ、にんげんかとおもって助けたすたのに、しんぶつにもはなされたあくとうだったのか」とって、そばにあったくいもとどおりにみました。それからおとこもともどったということです。それでむかしひとは「むやみなどうじょう災いわざわのもと、さわらぬかみにたたりなし」と、ったそうです。

しゃまえざとざいぐすく

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