『神さまの子を産んだ娘』
昔、幼くして両親を亡くした娘がいました。親戚の家で面倒を見てもらっていましたが、十一歳になるとよその家に奉公に出されました。そして、毎日雨の日も風の日もまき取りに行かされました。山の中には大きなデイゴの木があり、その根元にウロ(空洞)があり、時々そこで休んだりしました。ある日、疲れてしまってそこでうとうとしていました。何かに触られたような気がして目を覚ましました。なぜかその日から、娘のお腹が膨らんでいきました。
奉公先の主は「真面目な子だと思っていたら何と言うことだ、誰と関係したのだ」と問い詰めました。「私は誰とも関係していません」と言っても誰も信じてくれません。娘はとうとう家を出され、山の中へ入りいつものウロの所へ来ていました。すると急にお腹が痛み出し、そして十二個の卵を産みました。娘は途方に暮れ、卵を草むらに隠して村に戻りました。
それから二十日ほど経って、卵のことが気になり、隠したところへ来てみると、そこに卵からかえった子どもたちがブジュブジュと遊んでいました。娘はこの子たちを一体どうすれば良いのだろうとうろうろしていると、神の使いが現れて言いました。「この子たちはあなたの子どもではない、天の神からさずかった子どもたちなので、そのように思いなさい。そして、子どもたちには島の十二方位を守らせ、あなたは天に昇ってその子たちの行く末を見守りなさい」と言って消えました。
それから、娘は天に昇り、子どもたちは十二方位の神さまとなって、島を守っているということです。
(話者/砂川ヤマ=城辺)