『ンミブスオカアネのゆがたい』
昔ね、天の群れ星に、6人の姉妹がいたそうだ。一番上の姉をオカアネといって、6人はたいそう仲がよかったそうだ。父は天の神さまで、6人は飛び衣を与えられ、時々地上へも降りてきて沼で水浴びをしたりしていたそうだ。
ある日、沼の主のミカルスが6人の水浴びを見てしまいました。あまりに美しいので木にかけてあった飛び衣の1枚を盗み出し家に隠しました。沼に戻ると、オカアネが天に昇れず「飛び着物、飛び袴、隠しぬクバガサ、隠しぬイビラ」と言って泣いていました。
ミカルスは「どうしてあなたは泣いているの」と尋ねました。オカアネは事情を話し、あの飛び衣がないと天に昇れないと言いました。ミカルスは「それなら、飛び衣が見つかるまでうちにいるといい」と言って、オカアネを連れて行きました。そして、二人は夫婦になり、子どもまでさずかりました。上の子をウミシイ、下の子をウミナイといいました。
ある日、ウミシイが弟をおぶって、子守唄を歌っていました。「泣くなよウミナイ、ばんたがお母の飛び衣は、屋根の棟のかごの中にあるそうだよ。ばんたが大きくなったらお父があげると言っていたよ」。機織りをしながらその歌を聴いていたオカアネはびっくり、「今、なんて言った?」と聞き返し、さっそく屋根裏に上ってみると、そこに飛び衣がありました。
子どもを残していくわけにはいかないので、二人を脇に抱えて飛ぼうとすると途中までしか飛べず、母親は諦めて、一人で飛んでいってしまいました。何日経っても母親は帰って来ず、父親は出稼ぎに行ったまま帰ってきません。幼い二人は途方にくれ泣き暮らしました。
二人はとうとう死んでしまいますが、この様子を見ていた天の神さまは、オカアネを呼び、二人を生き返らせて来なさいと、生き還るムチと花を持たせました。地上に降りた母親は二人の子にムチをあて、花を嗅がせて生き還らせました。そうしてしばらく面倒を見、二人でも生活ができるようになったので、母親は天に戻りましたが、地上での行いを罰せられ、姉妹の一番うしろにいるそうです。
(話者/佐和田カニ=伊良部島)