『犬と猫が仲の悪いわけ』
昔、あるところに、とても仲のよい犬と猫がいたそうです。あるとき、神様がふたりを呼んで、「あそこの離れ島に宝を埋めてある。あの宝を取ってきた者にはごほうびに、一生楽に暮らせる財宝をあげよう」と言いました。
ふたりは、こんないい話はない、と急いで宝を取りに出かけたそうです。ところが、猫は水が嫌いで泳げません。犬は、犬かきとばかにされても一応は泳げます。さっそく、島に渡って宝を持ち出してきました。砂浜にたどり着くと、疲れがどっと出てきました。そこで、うとうと居眠りを始めました。それを見ていた猫はそーっと近づき、犬の側にあった宝の袋を盗みだし、神様に、いかにも自分が取って来たように届けたそうです。
そうとはしらない神様は、「マユ(猫)よ、よくやった。お前はこれからずーっと人間と一緒に畳の上で過ごすがよい」と言いました。後から、濡れてやってきたイン(犬)に対しては、「イン(犬)よ、お前は、これから人間のくそでも食べて外で過ごすことだな」と言いました。
それからというもの、猫は人間と一緒に畳の上で暮らし、犬は外で泥だらけになって生活しているということです。そして、それ以来、犬は猫を見つけると、このくそどろぼうめ、と言って追い回すということです。
(話者/下地恵考=下地)