2) 南京虫とノミとシラミの話

南京なんきんむしとノミとシラミのはなし

南京なんきんむしとシラミとノミの三人さんにんはとてもなかのいいともだちでした。
ある三人さんにんよるのイザリ(しおり)にかけました。ところが、それぞれのあしはやさがちがう。そこで、三人さんにんは、役割やくわり分担ぶんたんしました。あしはやいノミは、さかなかいかかり、南京なんきんむしはそれをあつめるかごち、シラミは松明たいまつやくになりました。

ノミはあしはやいので、みんなのさきあるいていきました。しばらくすると、「おーい、さかないたぞー、いそいでかごをっててくれー」とさけんでいます。ところが、南京なんきんむしは、「無理むりいうなー、おまえのあとえんから、おまえがればいいー」とふてくされています。「あーあ、やってられないよ」とプリプリしながらやってきたノミは、南京なんきんむしからかごをうばり、おもいっきり、わらじのあしみつけました。

「いたーい、いたいよー」といって、南京なんきんむしはペシャンコになりました。「くやしかったら、おれにけないようにあるくことだな」ノミはてて、さっさとあるいていってしまいました。「ばかやろー、ますますあるけなくなったじゃないか」南京なんきんむしくやしくて悪態あくたいをつきました。

ノミは、今度こんどはシラミにかって、「おーい、おれ松明たいまつきそうだよー、おまえの松明たいまつっててくれー」とさけぶと、「これはおもい、おもい。なかなかまえすすまぬ。おまえれー」とわめいている。「どうしようもないやつらだ、使つかいものにならん」といってシラミのところへき、みじかくなった松明たいまつで、シラミの胸元むなもとをグフーといたそうです。それからってさ、しらみの胸元むなもとくろくなったのは。

三人さんにんは、夜通よどお喧嘩けんかをして、いえかえってからもノミは、シラミと南京なんきんむしに「おまえたちは、おれをおこらせてばかりいたからさかなけてやらないよ」といってむくれていました。そこで、シラミは南京なんきんむしに「あいつは、あまりにも勝手過かってすぎる。おれは胸元むなもとくろくなるまでかれ、きみもペチャンコになるまでみつけられたのに、そのわびどころか、おれたちをおこってばかりいる。なんとか、二人ふたりちからわせ、ギャフンとわせる方法ほうほうはないものか」と相談そうだんしました。

二人ふたりは、ノミの弱点じゃくてんつけ、シラミがまえあしを、南京なんきんむしあたまをつかまえてグーとまえかたたおしたものだから、ノミは背中せなかがパキンとれて、いまのようながった背中せなかになり、ピョンピョンまわるようになったというはなしです。

話者わしゃ前里まえざとざい城辺ぐすくべ

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