25) 魚女房

うおにょうぼう

むかしひとものわかものがいました。わかものは、のうぎょうしながらうみにもったりしていました。あるわかものりにかけました。そして、とてもうつくしいさかなげました。めずらしいので、べるにはならず、しばらくやしなってみようとおもい、おおきなかめにれておくことにしました。

あるわかものはたけからかえってみると、たいそうなごちそうがならんでいました。わかものおもいましたが、せっかくだからべてしまいました。ところがこんなことがなんにちつづくと、みょうちになってとなりものばあさんにいてみることにしました。ばあさんは「そうさな、おまえはたけかけたあと、きれいなむすめさんがそでをまくりげてりょうつくっているよ」とうのです。

わかものはまるでこころたりがないので「どうしたら良いのでしょう」とくと、ばあさんは「あれは、にんげんではないね。おまえっているさかなだろうね」とはなし、なんでもおとおしでした。そこでわかものはこれからのことをたずねると、「はたけくふりをしてかくれていて、おんなあらわれたらうしろからそーっとって、こらーっとおどかすと、そのおんなはずーっと、そのままにんげんでいられるよ」とおしえてくれました。

わかものは、そのうつくしいむすめいっしょになれたらいいなとおもっていたので、ばあさんのわれたとおりにして、ふたり人はふうになりました。しばらくすると、どももまれ、まいにちしあわせにらしていました。ところが、まわりのむらびとたちは、このぞくをうらやむあまり、わかものにいやがらせをするようになりました。むらあつまりのたびに「おまえはイユ(さかな)ガマのビキドゥン(おっと)のくせに。なんといやらしい」となじりました。

わかものは、だんだんときこもるようになり、つまにあたりました。「おい、さかなよ、おまえのせいで、わしはいやしいおとこにされているんだよ。もう、ってくれ」とらすのです。そとからかえるたびに、そうしてぼうげんかれるとつまたちがなくなり、あるとうとう「わかりました、きます、どもたちのことをよろしく」とってうみはいっていきました。

わかものは、つまのおかげでゆうふくらしていたのに、おんながいなくなると、いていたどもさえも、ブーブーとになってんでいってしまいました。あわてたおとこは、いそいでうみき、「わしがわるかった、たのむ、わしもいっしょれてってくれ、コーイ、コーイ、もどってコーイ」とつづけました。そして、とうとうわかものはコーイとりになってしまったということです。(*コーイとりいっぱんにヒクイナとばれ、ゆうがたからよるにかけてくといわれる)

しゃはなしろカマド=うえあらさと

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