のひな ひろし(Nohina Hiroshi)さんのプロフィール
宮古島市平良出身
琉球大学美術工芸科卒業
大学在学中に沖縄フォーク村に参加
「うりずんの島」、「季節はずれ」、「西原街道」、「もう一つのうりずんの島」など、数々のヒット曲を世に送り出す。
40歳を期に宮古島に帰るも、変わり果ててしまった宮古島の風景に深い悲しみを覚えたのがきっかけで絵ふでを持つようになる。
現在、わずかに残る宮古島らしい風景を水彩で描きつつ市内の「ぬかぁ~ぬか」というライブ・バーを拠点に音楽活動も続けている。
『犬と猫が仲の悪いわけ』
昔、あるところに、とても仲のよい犬と猫がいたそうです。あるとき、神様がふたりを呼んで、「あそこの離れ島に宝を埋めてある。あの宝を取ってきた者にはごほうびに、一生楽に暮らせる財宝をあげよう」と言いました。
ふたりは、こんないい話はない、と急いで宝を取りに出かけたそうです。ところが、猫は水が嫌いで泳げません。犬は、犬かきとばかにされても一応は泳げます。さっそく、島に渡って宝を持ち出してきました。砂浜にたどり着くと、疲れがどっと出てきました。そこで、うとうと居眠りを始めました。それを見ていた猫はそーっと近づき、犬の側にあった宝の袋を盗みだし、神様に、いかにも自分が取って来たように届けたそうです。
そうとはしらない神様は、「マユ(猫)よ、よくやった。お前はこれからずーっと人間と一緒に畳の上で過ごすがよい」と言いました。後から、濡れてやってきたイン(犬)に対しては、「イン(犬)よ、お前は、これから人間のくそでも食べて外で過ごすことだな」と言いました。
それからというもの、猫は人間と一緒に畳の上で暮らし、犬は外で泥だらけになって生活しているということです。そして、それ以来、犬は猫を見つけると、このくそどろぼうめ、と言って追い回すということです。
(話者/下地恵考=下地)