『ひばりと巣出水』
昔、昔、大昔のはなしだよ。今では小さいほうの鳥に属する雲雀は、昔は大きな鳥だったようです。ある日、天の神さまがひばりと蛇に「巣出水を持って天に昇って来るように」と言いつけたそうです。「はい、かしこまりました」と大事な巣出水を首にぶらさげ天に向かいました。ところが、うまく飛べない蛇は、途中でひばりの足に絡みつきました。その拍子にひばりは巣出水を蛇に浴びせてしまったのです。
その様子を見ていた神さまは怒ってしまいました。「お前は蛇ほどにも知恵がないのか、蛇はこれから脱皮しながら永遠に生き続けるだろう。お前は大変な罪を犯した、罰として締め上げてやる」と言い、ひばりはとうとう小さな鳥にされてしまいました。今では、小さな体で必死に天に向かって飛ぶひばりを「揚げ雲雀」と呼び、俳句の季語にもなっています。
それでも、ひばりは昔、神の使いだったので、鳥の中でも一番知恵があり、巣作りもうまいといわれています。ススキの穂の白い綿を取ってきて丈夫な巣を作ることで知られ、その巣の戸口は北風が吹けば南に向き、南風が吹けば北へ向き、よく考えられています。
ひばりが、小さくなったのは、そんなことがあったからだよ。
(話者/前泊メガ=平良池間島)