﹃蛇へびと生いき水みず﹄
昔むかし、天てんの神かみさまが使つかいの者ものを呼よんで、﹁この巣す出で水みずと死しに水みずを運はこんで地ち上じょうに降おりなさい。巣す出で水みずを人にん間げんに、死しに水みずを蛇へびに浴あびせて来きなさい﹂と命めい令れいしました。
さっそく、使つかいの者ものは二ふたつの桶おけをかついで、ジャブラ、ジャブラと歩あるいて来きたそうです。途と中ちゅうで疲つかれてしまって一ひと休やすみすることにしました。桶おけに寄よりかかって休やすんでいるうちにいつの間まに寝ねてしまいました。
目めが覚さめてみると、さ丨大たい変へん、蛇へびが巣す出で水みずに入はいって気き持もち良よさそうに泳およいでいます。﹁しまった!﹂使つかいの者ものは飛とび起おきましたが、後あとの祭まつり、仕し方かたなく、残のこった死しに水みずを人にん間げんに浴あびせ、天てんに戻もどりました。
使つかいの者ものは、神かみさまに事じ情じょうを話はなすと、カンカンになって怒おこり、﹁君きみは、何なんてことを仕し出でかしてくれたんだ、これで人にん間げんに与あたえるはずだった永えい遠えんの命いのちは絶たたれた、すべて、君きみのせいだ﹂といって罰ばつを与あたえました。それは、桶おけをかついだまま、太たい陽ようの中なかに立たっていることでした。今いまでも、太たい陽ようの黒こく点てんと言いわれるのはその罰ばっされた使つかいの者ものだそうです。
︵話わ者しゃ/前まえ泊どまり徳とく正せい=平ひら良ら池いけ間ま島じま︶