1) ウンタラの主の話

『ウンタラのしゅはなし

むかしね、ウンタラのシュという、力持ちからもちであたまのいい、すべてをかねそなえたおとこがいました。

ところが、このしまにはむかしからおにが住んでいて村人むらびとくるしめていました。そこで、ウンタラのシュは「よし、ぼくがそのおにとやらをやっつけてやろう」とおもち、出発しゅっぱつしようとすると、そこへ小鳥ことりんできて、「ピーも一緒いっしょれてってくれー」といたそうだから、「よしよし、ついてくるがいい」といってあるしました。

木刀ぼくとう片手かたてあるいていると、今度こんどはハチがあらわれ「ブンもおともさせてくれー」とうなくもんだから、「いいだろう」といってあるいていると、今度こんどはムカデがてきて、「いいなぁ、おれもアグ(とも)にしてくれんかー」とたのむので、こころひろいウンタラのシュは「みーんな、まとめてついてい」とうとジャッカ、ジャッカあるした。それをたアコウうすも、「おもしろそうだから、ついてこう」といってあとをついてきたのでみょう行列ぎょうれつ出来できてしまいました。

そうしているうちに、おにいえきました。ちょうどいいことに、おに昼寝ひるね最中さいちゅう。「しめしめ」、ウンタラのシュは、みんなをあつめて作戦さくせんりました。「ヒソヒソ、ポソポソ…よし、まった」。さっそく、作戦さくせん開始かいし!まずはじめに、ウンタラのシュが、おにている床下ゆかしたへもぐって、ゆか隙間すきまから木刀ぼくとうでゆっくり、グッファ、グッファときました。すると、おにはモゾモゾとうごき出し、「今日きょうはいやにノミがおおいのぉ」といいながら、台所だいどころへノミ退治たいじりて行きました。おにはかまどで、けようとすると、はいなかかくれていた小鳥ことりはパタパターとしたから、びっくり仰天ぎょうてん、「アガイタンディーあれーー」、にもはいはいってしまいました。おには、あらうためにみずがめのところへってひしゃくをると、それにへばりついていたムカデがおにうでをチクリ!「ヒヤーッ」、あわてたおににわしました。すると、今度こんど戸口とぐちはしらまっていたハチがんできて、体中からだじゅう、チクリ、チクリー。

「アガー、アガー(いたい、いたい)」。庭中にわじゅうめちゃめちゃにはしまわっているところへ、アコウあしをひっかけたおしました。そのうえうすがドスーン。ぐったりしたおにに、ウンタラヌシュは、ここぞとばかり、木刀ぼくとうあたまをメーン。おにはとうとうんでしまいました。

バンザーイ、バンザーイ。みんなはおにいえ宝物たからものをみんなもらってかえってきました。そして、むら平和へいわになったということです。

(話者わしゃ与那原よなはらカマド=いけ間島まじま)

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